第3話 病院食

「今日のメニューは・・・蒸したサワラと野菜炒め、白菜の醤油和え!」

蓋を開けなくても、透視する超能力者のように中身が分かる私。

何故ならば一定の周期で同じメニューが繰り返されるからだ。

素材も全く同じもので、組み合わせも同じ。そのメニューが永遠に繰り返される。

一年以上も食べてると嫌でも分かる。私と同じ病棟に、ほとんど住んでいるように

入院している妹分のMちゃんと二人やるせない気持ちを募らせている今日この頃

・・・(Mちゃんは10数年間募らせて、もう諦めている様子)

献立の内容もバリエーションが無く麺類や丼物,混ぜご飯の類は全く出ない。

朝もパン食のみでご飯は出ない。ご飯党の私にとってそれはとても辛いところだが

出ないから仕方ない。せめて週一度くらい湯気の立つ白いご飯を食べてみたい。

食中毒対策の厳しい規制か生野菜もほとんど出ない。

出るのは決まっ、ちぎったレタス少しとトマト2切れのみ。

年末の行事を期待して年越しそばを楽しみにしていたが

年越し超プチわんこ蕎麦には思わず箸を落とし涙した。

気を取り直して正月メニューに掛けたが,メインが尾頭付きのザリガニのような伊勢海老半分を

大根や人参で炊いた澄まし汁。それと白ご飯のみ。これでも気合は入っているのだろうが

元日早々,腰が砕けるほど打ちのめされた。

これからの季節,暑くなるとお昼は冷たいものが欲しくなる。

チュルチュル素麺や,ちめたい冷奴が・・

しかし,すべてウダウダに火が通って熱々が登場する。思わず蓋を閉めてため息。

心臓病の患者は減塩や場合によっては水分の制限もある。

食餌療法の重要性は分かるけど,食事の制約も多くストレスが溜まりやすい。

長期入院患者の大きな楽しみでもある。

病状が悪化すると食欲も低下しそれこそ食事を工夫する重要性は大きいと思う。

食べれるだけ幸せな事だと世界の飢えに苦しむ人々に目を向けると自責するが

やはり私は凡夫だろう。

いつもMちゃんと,あまから手帳やTVのご馳走番組にかぶりついて見入っている。

病院関係者の方々に悲痛な患者の叫び声が届き,ご理解の得られる日が来ることを心から願っている

・・・お願い・冷やし素麺・冷奴が食べたいの・・・(ぼそっと、呟く)