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入院初日から始まった抗癌剤治療は8年間にも及んだ。
その使用量は相当な量で,その多数の副作用に私は苦しんだ。
その抗癌剤の副作用による心筋症もその一つである。
私の白血病の治療は数種の抗癌剤を組み合わせたものを点滴し,後は内服での
抗癌剤とプレドニンというステロイド剤を併用したものだった。
一番辛い副作用は激しい嘔気嘔吐、治療後に起こる白血球低下による感染症,
そして血小板や赤血球減少による出血と貧血だった。
入院治療中の場合かなり強力な抗癌剤を使用するので患者は白血球減少により
体の抵抗力が著しく落ちる。感染を防止する為通常は個室での治療を強いられ
症状によっては家族の面会すら制限される事もある。
入院初日から始まった抗癌剤治療は,数後には孤独な個室での戦いに移行した。
入室前に髪が抜ける事を伝えら、あらかじめバリカンで丸坊主にされた。
成人式に結おうと伸ばしていた髪がぱらぱらと刈り取られ、,うつむく私の膝から床一面に落ちて行く。
「坊主頭も可愛くて似合うばい」初めて私を見た両親はそう言った。
泣きたい気持ちを堪えながら,その時私は持ち前のヒョウキンさで笑っておどけて見せた。
消灯後,一人の病室で鏡に映る自分の姿を見ながら私は声を殺していつまでも泣き続けた。
しかし,そんな感傷に浸っていられないほどの苦しみが次々と私を襲った。
白血球の低下と共に高熱を出し,血小板も赤血球も低下し出血や貧血の症状が出てきた。
抗生剤を開始し血小板,や赤血球の輸血も頻回になり,採血や骨髄穿刺の主要検査も回数を増した。
抗癌剤の治療に加えて,点滴の管を確保する為に鎖骨下からカテーテルを入れる
処置や骨髄を採取する検査は局所麻酔を使用するが患者の苦痛は大きい。
窓の開閉すら出来ない個室のクリーンウォールというビニールテントの中で一人,
襲う苦痛と,この世の物とは思えない程の日に日に変貌して行く
自分の姿に怯えながら私はじっと耐え続けた
幸運なことに抗癌剤の効きも良く私は入院4ヶ月目で退院する事が出来た。
そしてその後は丸3年間,父の付き添いのお陰でサボることなく外来での抗癌剤の点滴治療に通った。
少し軽い治療にせよ1月の約半分を私は吐いて過ごしたが,
3年辛抱したら必ず治る。この苦しみから逃れられる。そう信じてひたすら治療を
受け続けた。病気を治してもう一度,学校に行きたかったから。
neko