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「命がけの手術になりますがそれでも手術を望まれますか?」
阪大病院から往診に来て下さった形成外科の医師がベッドに横たわり哀願する私にこう告げた。
私には,ひどく気にしているコンプレックスがある。
それは白血病の治療の際起こした敗血症が原因で出来た頬の陥没と唇の変形。
当時は、口の開口もままならず食事も経口摂取出来ない状態を改善する為、
上唇が歯茎に癒着したのを剥がし太ももの付け根の皮膚を歯茎に植皮する手術を形成外科で受けたが,
それは生命維持のため不可欠であることが理由で行われた。
白血病の再発を頻繁に起こしていた私は,両頬や唇を元通りにする手術を望んだが,やはり無理だった。
手を加えることで、感染症の原因を増やす事は,白血病の治療の際命取りになるからだ。
白血病の再発が落ち着けば手術が出来るかもしれない。
希望を持ち続けたが,今度は心不全を併発し入退院を繰り返す事になった。
白血病が完治したというのに今度は心臓の調子が悪いので手術が出来ない,
元気になれば手術を受けられる元の顔に戻れる。
私は一縷の望みを賭けて国循にやって来た。
しかし心臓移植をすれば一生免疫抑制剤を使う身体になり
感染症にかかいやすく、歯の治療すら出来なくなる。
到底顔の手術など出来るはずは無い。
今が最後のチャンスだが24時間点滴を着けた重症心不全患者の私には危険が大きすぎる。
手術中に命を落とすかもしれないし上手く行っても心機能は今以上に悪くなる恐れがある。
当然心臓移植も出来なくなるかもしれない。
心臓を診る医師の立場では絶対思い止まらせたいと思って当然の話だ。
少し前の私は,今までずっと自分のすべき事ばかりを考えすぎて
自分がどうしたいのかが分からなくなるような人生を送ってきたように思う。
すべき事,ねばなら無いばかりを考えすぎて自分を追い込むような所があった。
しかし今度だけは周りが何と言っても手術を受けたいと思った。
やはり女だから病気をしていても綺麗になりたいと思うのは罪ではないだろう。
24歳の時からこの顔を愛せず,ずっと苦しんできた。
心臓移植をして元気になっても一生この顔で生きていかねばならないと思うと、
自信が無いし不安でたまらない。でも死ぬのは怖い。
私が生きていることを嬉しく思ってくれる人達とお別れするのがたまらなく悲しいし,
そしてその人たちを裏切るようで辛い。どちらを選ぶかは、最終的に私自身が決断をしなくてはいけない。
自分の顔を最後まで受け入れず、命を落とすことになっても手術をするのか,
自分の顔や心の傷までもみんな背負い生きていくのか。
命を落とす覚悟いさぎよくこの顔のままで生きていく覚悟
どちらを選ぶにせよ心の強さが必要だ。
自分で選んだからにはその責任を自分が持つつもりだ。
進む道は二つに一つ,私の場合いつも生きるか死ぬかの賭けになる二者択一ばかりだ。
今もこのHPを作成しながら心は振り子のように揺れている。
HPを作成しながら私は自分の生きる道を探しているのだと思う。
neko