第5話 悪い事は出来にゃいの

「○○○さん大丈夫ですか?」

ネコ部屋の真向かいの詰め所からナースが慌てて飛んでくる。

心臓病の患者は状態に応じて心電図を装着している。

そして,その波形は,詰め所のモニターで監視されている。

異常な変化をいち早く察知し俊敏に対処する為に

24時間体制でナースが管理してくれているのだ。

さて、その心電図の波形だが,ありとあらゆる振動や動きにも敏感に作動してしまい

例えば歯を磨く動きなどはモニター上では不整脈の波形などに類似しており

間違えられる事もしばしばあるのだ。

土曜日の昼間に吉本新喜劇(大阪っ子は大抵見てると思う。)を大声で,腹を抱えて見ていた時も

好物の歯の折れそうに硬い草加煎餅を無心にバリバリ食べていた時も

ナースはすっ飛んできた。

後、モニター上には心拍数も出ているので脈拍数が上るとやはりナースは飛んでくる。

重症心不全患者の私は少しの運動や興奮でも脈拍が上昇してしまう。

リ〜ンゴ〜ン・リ〜ンゴ〜ン♪

異常を知らす音が詰め所から近いネコ部屋には聞こえてくる。

 

最近寝たきり人生の花道を歩く私は,自分の体型の変化を異常に気にしている。

(年齢のせいもあるけど)筋肉は落ち,くびれも無くなり見るも無残だ。

悪あがきと知りつつベッドの上で足上げ腹筋(15秒で止めた)

そして100均で購入した水を入れるダンベルを持ち

涙ぐましい努力をしていたら(これは二日坊主だった)やっぱり飛んできた。

そしてきつく叱られた(とほほ・・・)

この事を友達に話したら,アホか!と叱られた。

日がな一日,首から心電図の機械をぶら下げている私は悪い事は出来にゃいのだにゃーー!

でも・・・素敵な彼からのラブラブメールに胸を高鳴らせてもいることは,きっと誰にも分からないのでしょうが・・・

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